生まれたばかりのわが子がNICUへ入院し、面会に通う毎日。
抱っこや授乳など、思い描いていたお世話ができない状況が続きます。
「親なのに何もしてあげられない……」
私も、娘がNICUにいた頃は自分の無力さに胸が締めつけられる思いでした。
でも、保育器の中で頑張っている赤ちゃんに、パパ・ママができることはあります。
そのひとつが 「ホールディング」。
手のひらで赤ちゃんの体を優しく包み込む、NICUでの大切な触れ合いです。
この記事では、ホールディングの方法や赤ちゃんにもたらす効果、そして実際に私が感じたことをまとめました。
保育器越しに作る“親子の時間”。
きっとママの心も、ふんわりと温かくなるはずです。
NICUにおけるホールディングとは
「ホールディング」とは、入院している赤ちゃんを両手で優しく包み込むように触れるケアのことです。
ホールディングの方法

赤ちゃんの頭や背中、手足など、全身を両手でそっと包み込むように静かに手を当てます。
赤ちゃんの状態や反応に合わせて、力加減や触れる時間を調整します。
優しくそっと手のひらて触れるような感じでした。
ホールディングの目的
ホールディングの目的は以下の通りです。
【目的】
鎮静・ストレス緩和: 子宮内にいた時に似た姿勢や感覚を与えることで、赤ちゃんの不安を和らげ、安静を促します。
姿勢の改善: 適切なポジショニングと組み合わせることで、姿勢を安定させ、神経行動発達を促します。
覚醒や行動の活性化: 優しく触れることで、赤ちゃんの覚醒を促したり、行動を活性化させたりする効果もあります。
親子の絆の形成支援: 家族が赤ちゃんに触れる機会を提供し、赤ちゃんとのつながりを感じてもらうことで、親子の絆形成(愛着形成)を支援する重要なケアの一つとなります。
ホールディングを初めてした日のこと
私が初めて娘のんに触れた(ホールディングをした)日の様子を振り返ります。
保育器の中で丸く眠る“のん”の姿勢
のんは生まれてからしばらくの期間、面会に行くと保育器の中でポジショニングをとって丸くなっていました。
早産で生まれた赤ちゃんは、まだ子宮の中で育っているはずだった時期を、保育器の中で過ごします。
そのため、胎児のように丸くなる姿勢が最も安心できると言われています。
このまるまった姿勢をポジショニングといいます。
のんは、呼吸を楽にするために丸まったうつ伏せの姿勢で過ごす時間が多かったです。
超低出生体重児は肺が未熟なため、うつ伏せになることで重力が味方して肺が開きやすくなるのだそうです。
人工呼吸器をつけていたのんも、少しでも呼吸が楽になるようにと、うつ伏せの姿勢でした。
初めてのホールディング
主治医のH先生から

やさしく両手で包むように触れてあげてね
と指導していただき、保育器の丸い穴からそっと手を入れました。
初めて触れた、娘のからだ。
驚くほど小さくて、柔らかくて、皮膚が薄くて…

少し力を入れたら壊れてしまうんじゃないか
と思いました。
私の両手のひらの中に、頭からおしりまでがすっぽり収まってしまうほどの小ささ。
最初は緊張で手が震えました。
そっと包み込むと、
のんのあたたかな体温が手のひらから伝わってきました。
“生きてくれてる。体温がある。”
そんな実感が込み上げて胸がいっぱいになりました。
ホールディングが教えてくれたこと
ホールディングを通じて、保育器の中のわが子と触れ合うことができる経験。
赤ちゃんと家族、両方にとって良い効果があります。
赤ちゃんにとっての安心感と効果
ホールディングは、赤ちゃんにとって
- 手のぬくもりを感じられる
- からだの緊張がほぐれる
- 情緒が安定する
- 良い眠りにつながる
などの効果があると言われています。
実際、のんが保育器の中で手足をバタバタさせて落ち着かないとき、少しの間ホールディングをしていると、穏やかになっていきました。

私の手と体温を感じてくれてる…
そんな想いが湧いてきて、私自身も心が温かくなる時間でした。
親にとって心の支えにもなる触れ合い
NICUでは、赤ちゃんにしてあげられることが限られています。
抱っこも、おむつ替えも、授乳もまだ先。

赤ちゃんは頑張っているのに、何もしてあげられない
そんな気持ちになるお母さん・お父さんも多いと思います。
そんな時、ホールディングは“赤ちゃんにしてあげられるケア”として親の気持ちを支えてくれます。
のんの体温を手のひらで感じた時間は、私にとっても心が満たされる大切な触れ合いでした。
まとめ|ホールディングはNICUでできる“最初の触れ合い”
ホールディングは、NICUにいる赤ちゃんとお母さん・お父さんをつないでくれる、とても大切なコミュニケーション方法です。
早産児は保育器の中で過ごす時間が長いため、一般的な育児のような触れ合いはすぐにはできません。
でも、手のひらで包み込むように触れるだけで赤ちゃんは安心し、親もわが子の体温を感じることができます。
のんに初めてホールディングをした日は、私にとって“はじめて娘に触れることができた日”として今でも心に残っています。
もし今NICUにお子さんがいて、
「何もしてあげられない…」と感じているママがいたら、ぜひホールディングをしてみてください。
それは赤ちゃんにとっても、ママにとっても、かけがえのない時間になると思います。



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